~洗濯洗剤や洗濯石鹸選び~
アトピー性皮膚炎やアレルギー体質での洗濯洗剤選びや洗濯石鹸選びは悩んだり考えたりしますよね。合成洗剤のどこに問題があるのか、粉石鹸と合成洗剤の違は?粉石鹸の選び方なども紹介しています。
~粉石鹸と合成洗剤はどこがどう違うのか?~
洗濯用の洗剤を成分によって大きく分けると、粉石鹸と合成洗剤に分かれます。粉石鹸というのは、純石鹸(天然油脂にアルカリを加えて作った脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウムのこと)に助剤として炭酸塩やケイ酸塩を添加したもののことです。一方、合成洗剤というのは、石油から合成されたLASや高級アルコール系などが主原料で、助剤として、蛍光増白剤、酵素などの化学物質が使われています。粉石鹸というと、液体洗剤以外の洗剤を指すと思っている人も多いようです。たしかに、形状からいえば、合成洗剤も「粉石鹸」といえますが、ここでいう粉石鹸とは、合成洗剤に対する総称と考えてください。ちなみに、テレビCMなどでおなじみの大手メーカーの洗剤は合成洗剤です。さて、アトピーと洗剤との関係ですが、首回りに小さい水疱(すいほう)を伴う湿疹ができている人や、皮膚が割れて痛くてなかなか治らない人の中には、治療と並行して合成洗剤から粉石鹸に変えると、驚くほど成果のあがる人がいます。今、合成洗剤を使っているのであれば、粉石鹸を試してみる価値はあると思います。
粉石鹸の表示例
家庭用品品質表示法に基づく表示
【品名】洗濯用石けん
【用途】綿・麻・レーヨン・合成繊維用
【液性】弱アルカリ性
【成分】純石けん分(61%)、脂肪酸ナトリウム、炭酸塩
合成洗剤の表示例
家庭用品品質表示法に基づく表示
【品名】洗濯用合成洗剤
【用途】綿・麻・レーヨン・合成繊維用
【液性】弱アルカリ性
【成分】界面活性剤(39%)、直鎖アルキルベンゼン系、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム(純石けん分)、アルファオレフィンスルホン酸カリウム、アルミノけい酸塩、炭酸塩、酵素配合、蛍光剤配合
~粉石鹸はどうやって選ぶ?~
粉石鹸を選ぶときは内容成分を確認して購入しましょう。「自然派」とか「低刺激性」というような、いかにもよさそうなキャッチフレーズがパッケージに書いてあるものもありますが、こうしたものの多くは合成洗剤で、成分もさしてほかのものと変わっていません。
~合成洗剤はどこが問題なの?~
合成洗剤には、いくつかの問題点があります。
①合成洗剤に使われている界面活性剤は人の皮膚に対して浸透性が高い。
②LAS、高級アルコール系など、合成に使われる様々な化学物質の中には、毒性の高いものがある。
③蛍光増白剤を使って漂白している。
④分解性が低く、泡やにおいは消えても、水の中にいつまでも成分が残ってしまうため、水質汚染の原因にもなっている。
※LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
たんぱく変成作用、皮膚障害性が強い。催奇形性(おなかの中の赤ちゃんの器官形成に対する悪影響などがいくつかの実験で確認されている。)
※高級アルコール系(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム=AES)
分解しにくいため、環境への影響が懸念される。製造過程でジオキサンという発ガン物質が副生混入するため、ヨーロッパでは警戒されている。
~粉石鹸の個性を理解して使う~
洗濯の際、合成洗剤を使い慣れていると、粉石鹸を使い慣れるまでは、例えば、「においが気になる」「すっきり白く洗い上がらない」「洗濯機の水になかなか溶けない」などの不便さを感じるかもしれません。まず、においや溶けの悪さについては、商品によって違いがありますので、いくつか試してみることをおすすめします。粉石鹸が溶けにくいときは、洗面器などで溶いてから使うとよいでしょう。また、合成洗剤は、蛍光増白剤の力で洗濯物を白くしていますが、粉石鹸は漂白していません。見た目は粉石鹸の洗い上がりは汚く感じますが、汚れや脂は分解しています。どうしても汚れが落ちにくいものには、つけ置き洗いをしたり、部分的に手でもみ洗いをしてみましょう。